幻夢の夜

中世ヨーロッパのとあるお城。
ここの宮殿の豪華な広間では紳士淑女たちが軽やかにステップを踏んで、
華やかに仮面舞踏会が繰り広げられていた。
その中でも一際めだったカップルが広間の中央で踊っていた。
女性をエスコートしている紳士は、このお城の城主で仮面舞踏会の主催でもあるキス伯爵である。
彼は身長が180センチくらいある大柄な体格の持ち主である。
豊かな黒い髪は腰のあたりまで長く伸び、顔立ちも端正ですごく凛々しかった。
きめ細かな白い肌に厚みのある口唇は、真っ赤で力強さが感じられた。
黒い燕尾服の上に黒いマントを羽織り、そして黄金仮面の奥の瞳は優しく淑女を見つめていた。
そんな瞳に見つめられるとどんな女性でも彼に魅了されることでしょう!
事実、この仮面舞踏会に出席している大半の女性は彼のファンであった。

今宵、伯爵の相手となった淑女の方は、危なっかしいステップで彼についていこうと必死で踊っていた。
彼女にとって今日は、記念すべき舞踏会デビューの日でもあった。
彼女の今まで知っている伯爵というのは、まわりの女性達が黄色い声をあげては噂しあっている、そんな姿だけでした。
男性を知らない彼女にとっては、初めて憧れた男(ひと)でもあったのです。

「よりによって舞踏会デビューの日に、伯爵様のお相手だなんて・・・」
嬉しくて飛び上がって喜びたい反面、回りの女性達からの厳しい視線を仮面越しからでも感じられるのでした。
そんなプレッシャーの中、彼女のかわいいフリルのついた純白のドレスは、室内の熱気と冷や汗でぐっしょりと濡れたのでした。

「きゃあ!」
伯爵とリズムをあわせようと必死だった彼女だったのですが、微妙にタイミングが狂ったのです。
足を床に下ろした瞬間、自分のドレスのスカートを踏んで、バランスをくずしてしまったのです。

「おっと、大丈夫ですか?お嬢さん」
「あッ、大丈夫です!」
広間の床に倒れそうになった彼女を伯爵が支えて優しく抱きしめたのでした。

「踊り疲れたみたいですね!私も疲れたから、すこし中庭でやすもう」
「・・・はい、伯爵さま」
まわりの女性達から冷ややかなそして妬ましい視線を感じる中、両肩を優しく抱く伯爵さまの手からは、
白い絹の手袋ごしでも温もりを感じることができたのです。


「今夜の月はいつにもまして輝いている。
お譲さんのその美しさが、月の女神アルテミスを嫉妬させるのだろう・・・」
「そんな嫉妬っだなんて・・・」

「だって、そうだろう。
私達が広間から出るとき、あそこにいたすべての女達の想いがわからなかったのかい?」
「・・・・・」
伯爵はワイングラスに赤ワインを注ぐと、私に手渡したのでした。
その時の私の気持ちは複雑にゆれ動いていた・・・。

「美しくなるには、どうしたらいいと思う?」
私は伯爵さまに質問されたが、なんて答えていいのかわからず、グラスに注がれたワインを見つめていた。
「美しい」ってどういうことだろう?・・・今までそんな事すら考えもしなかった。
伯爵は答えに窮してる私をみていたのだが、おもむろに庭先に行くとたくさんある赤い薔薇を1本摘んできた。

「答えは、目の前にあるよ」
そう言うと私に薔薇を渡してくれました。
私はおもむろにそれを受け取ったのです。

「痛ッ!(T_T)」
無用心に受け取ったので、なんと薔薇のトゲで右手の人差し指を刺してしまったのです。
人差し指から血がにじみはじめてきたのです。
それをみた伯爵さまは私の前に跪くと、傷ついた右手をつかんできました。
その時です!
私の血を見た伯爵さまは不気味に笑い出したのでした!!

「ふふふッ、ふはははッ!」
そして、私の顔を見上げたのです!
あーなんてことでしょう・・・神様・・・!
あの優しかった仮面の奥の瞳は真っ赤に充血し、厚みのある口唇からは2本の長く大きな牙が伸びていたのでした!!
「きゃあ!」
私はびっくりして伯爵さまのつかんでいる右手をふりほどこうとしましたが、できませんでした。
人間の力ではない信じがたいような力を感じたからです。
すると伯爵さまはつかんでいる私の右手を、おもむろに自分の口唇に押し付け、血を吸い始めたのです。
伯爵さまに吸血されるたびに、私は今までに味わった事のない感覚が全身を襲ってきました。
「ああん・・・」
「おかしくなりそう・・・」
イッてもイッってもその感覚がさざなみのようにやってくるのです。
「・・・はッ、はく・・しゃく・・・さ・・・ま・・・」

黒く揺れ動く伯爵さまの長い髪をみつづけながら、
私の視界は真っ白になって、気を失いました・・・。



渡来船店内

「ヴァンパイアとは孤独であり、永遠の愛のさすらい人・・・ヴァンパイア・キス」
わたしはいかにもありがちな映画広告から目をそむけると、
ミントの香るタバコの煙を胸いっぱいに吸い込んだ。
ふぅーッ!
「そうよね、ヴァンパイアほど魅力的で美しい存在はないものね!
しかし・・・」

ここは東京は下北沢の一角にあるBAR渡来船。
わたしはこのBARの女船長で穂積みゆき。
もちろん船長っていっても、本物の船を操縦するわけではありません(笑)。
ちなみにお店は、わたしの両親が経営しています。
店内は15、16世紀の渡来船をイメージしたつくりになっています。
女の子船員達(クルー)の制服は海軍のセーラー服風にできていて可愛く、
お客さまに大人気なのです。
常連客の中には、この制服姿の女の子を見たいがために通っている方もおられるらしいのですが・・・(苦笑)。
「ねー、カズ君!」

わたしの表の顔は女船長ですが、じつは裏の顔も持っているのです。
「ヴァンパイア・ハンター!!」

わたしの住む世界には「ヴァンパイア」はあたりまえのように存在し実在しているのです!
あたりまえのように存在すると言っても、裏の世界を知っている特殊な存在きりこの事実は知らないのです。
表世界の住人達にしてみれば「ヴァンパイア」という知識はあるのですが、
存在しているという事実はもちろん知りません。

わたしの職業である「ヴァンパイア・ハンター」はお祖母さん、母親、そしてわたしへと受け継がれてきました。
代々直属の女系に受け継がれてきているのです。
「ヴァンパイア・ハンター」の仕事は、
ヴァンパイアをこの世から抹殺(=存在をなくす)することを目的としてはいません。
ヴァンパイアを抹殺することは、とうてい不可能だからです。
なぜか!?・・・ヴァンパイアは永遠の存在だからです。
表世界に生きる住人をいかにヴァンパイアの魔の手から守るかが問題なのです。

ヴァンパイアは「永遠の若さ」を求めて、獲物の生き血や精気を吸うことにより、
この世に存在しつづけられるのです。
その為には、あらゆる手を使って人間から「永遠の若さの源」を奪うのです。
それが「ヴァンパイアの意思」でもあるがゆえ、ヴァンパイア本体は人の形をしているとは限らないのです。

前回の事件がそうでした・・・。
ヴァンパイアの本体は黒いサテンのマント。
そのマントのなかに「ヴァンパイアの意思」が秘められていたのです。
表の人間のSM女王様であった黒百合は、まったくその事実を知りませんでした。
知りようがなかったからです・・・。
マントを羽織ったがために「ヴァンパイアの意思」に体が強く支配されて、
女吸血鬼と化してしまったのです。
黒百合にとってみれば天から災が降り注いだようなものです。
女吸血鬼となった黒百合は、
表の人間を無作為に襲っては「永遠の若さの源」を奪っていったのでした・・・。
どうしてヴァンパイアの本体が黒いサテンのマントに乗り移ったのかは、わかりません!
ただわかることは「ヴァンパイアの意思」を感じ取ることができることです。
この事件を解決するのにカズ君を囮に使ったことが、わたしにとって間違いでないと考えたいですけどね。

前回の事件ではかなり頑張ってもらったけど・・・、
わたしって男をみる目がないのかしら・・・(泣)。

わたしの目の前のカウンター席に座って、楽しそうにビールを飲んでる男ッ!

そー、こいつ。
こいつは飲めもしないのにお酒好きで、可愛い女の子さえいればどこにでもほいほい遊びに行く奴なのです。
最近、会社からリストラされたらしく暇なものだから、毎日うちの店に入り浸りだし・・・。
さっきから女の子船員(クルー)にあおられながら飲めもしないお酒を懲りずに飲んでるし・・・(頭痛)。

目の前に座っているので、イヤでも見てしまう みゆきなのでした。

「なぁーに美樹ちゃーん、さっきクルーのコに聞いて驚いたんだけどぉー。
最近、彼氏と結婚したんだってー!?」
「あー誰だー、カズ君にわたしが結婚したこと教えたのぉー!」
「ありゃ!?マジに結婚したんだぁー!おめでとーッ!!
えーとそれじゃあー、美樹ちゃんを祝してどーんっと俺がクルーみんなの分のビールおごちゃう!!」
「きゃーごちそーさま!ありがとうカズ君」
「えーとそれじゃあー、美樹ちゃんと彼氏・・・じゃなかった旦那さまの幸せにッ!乾杯ッ!!!(^^)Y☆Y(^^)」
「かんぱーい!!」
「ごくッ、ごくッ、ぷはーッ!最高にうまいっす!」

そんなお調子者のカズ君を見ていた みゆきが我慢できなくなったのだろう、嗜めた。
「ほらカズ君ったら、あんたそんなに飲めないんだから、ほどほどにしときなさい!(怒)」
「美樹ちゃーんの幸せのために、オレのんでるっす!だから大丈夫っす!オレも幸せっす!」
「はいはい!」

今までカズ君のことを心配してたあたしがバカだったか・・・はぁー!
まー酔っ払い相手にマジになってもしゃーないし(苦笑)。

「ところでカズ君、この映画広告はどうしたの?」
さっきカズ君がヴァンパイア映画を見に行こう!とわたしを誘ってくれたものでした。
「もちろん みゆきさんと映画みたいから映画館からもらってきたんですよぉー!
その広告には割引券もついているからぁー、お得なんですよぉー!
それにぃー」
意味ありげな視線を みゆきに投げかけるカズ君でした・・・(爆)。
「ぢゃなっくって・・・」
はぁー!(ため息)

軽いめまいを覚える みゆきだった。

ふたなり吸血娘

「う、ううっ・・・」
少女が意識を取り戻したのは、あたりの闇がまた一段と濃くなった頃でした。
呻き声を発しながら上半身を起こした少女は、キョロキョロとあたりを見回しました。
「・・・ん」
少女が見たものは窓が一つもない石造りの部屋でした。
部屋の中は冷たく張り詰めた空気が漂っていました。
部屋の四方には松明の明かりが煌々と照らしだされていて、
樹脂が焦げるかすかな音だけが聞こえてきました。
少女は静寂に息苦しさを感じ、ごくりと唾を飲み込んだのでした。
「ここはどこ?」
なんと少女が寝かせられていた場所は、大きな石の上だったのです。

(なぜわたし、こんな所で寝ていたんだろう?
そうだわ!わたし憧れていた伯爵様とダンスして踊ったんだっけ!そして・・・)
少女は優しかった伯爵様が欲望を剥き出しにして変身していく姿を思い出して身震いするのでした。
そしていつの間にか目の前の視界が曇っていき、
自分が泣いている事に少女はようやく気づくのでした。
(なぜわたしがこんな酷い目にあわないといけないのだろう・・・)

彼女はキス伯爵のお城の城下町に住んでいました。
今年数え年で15歳になり、名前はマリアといった。
この城下町では年に1度大きなお祭りをしていました。
そのお祭りのイベントの1つが「町一番の美女」を決めるオーディションが開かれていたのです。
もしこのオーディションで優勝すれば、その日の夜にお城でパーティーが開かれるのですが、
そのパーティーに招待されるのです。
このオーディションは町で1、2番を争うほどの美女でさえ合格するのは難しいと噂が流れているほど厳しいかったのです。
それでも女の子たちにとってはその難関に合格することは、夢でもあり希望でもあったのです。
合格すると自分の誇りだけではなく、地位や名誉まであがる絶好のチャンスでした。
その為に女の子達は、自分を磨く為に日々の精進がかかせませんでした。

今年、オーディションに応募した女の子は数十人でした。
彼女達の中で一番地味で質素な女の子がマリアだったのです。
彼女自身は記念にオーディションに出るくらいできり考えていませんでした。
まさか自分が優勝するなんて、思いもよりませんでした。
(オーディションに参加したことから、私の時間の何かが狂ってきたのね・・・)

その時でした!
2つの黒い影が部屋に入ってきたのです。
それは床に引きずるほどの長く黒いマントにすっぽり身を包んでいました。
1人はキス伯爵本人で、もう1人は深くフードをかぶっているため顔までは見えませんでしたが、
姿から見て女性であることは想像がつきました。

「ふふふッ。
お目覚めかな、お嬢さん」
伯爵の声をきいたマリアは、背筋が凍る思いでした。
「ふふふッ、どうして私がオーディションであなたを選んだかお答えしましょうか?」
伯爵はここの領主でもあった為に、
このオーディションの最高審査員でもあったのです。
(なぜ私が考えている事が、伯爵様に伝わったのだろう・・・
伯爵様が本当にヴァンパイアだから・・・?)
そんな疑問をよそに、伯爵は真相を打ち明けたのでした。

「あなたのご察知のとおり、私はヴァンパイアなのだよ。
ヴァンパイアはもっとも死に近い存在といえよう。
反対に純潔な娘は、死ではなく生命の根源に近い存在なのだよ。
我々の生命の力は純潔な娘の生き血をいただくことによって、生き長らえることができるのだ。
美しく汚れのない体こそ、より強い生命力が溢れているのだよ・・・ふふふッ」

それを聞いたマリアは毅然とした態度でいいかえした。
「だったら何なのよ!わたしをどうしたいわけ?
わたしにこんな思いさせるなんて、許せない!!」
「なんて威勢のいいお譲さんだこと。
おまえの両親はおまえを育てるのに苦労したことだろうよ。・・・ふははは!」
「バカにしないで!!」
「よかろう・・・。だったらおまえの相手は私でなく、こいつにまかせるとする。
好きにするがよい、ローズ」
「はい、わかりました伯爵さま」

キス伯爵の隣にいたローズという黒マントの女は、
フードをあげるとマリアを見たのだった。
「・・・・・」

フードをあげたと同時に、ローズの長い髪の毛がサラサラとなびいた。
腰まであるそのしなやかな黒髪は、美白の肌とあいまってとても美しかった。
そして美白肌の顔は化粧をしているのだろう・・・目蓋を紫色に染め、口唇はまっ赤に塗っているのだが、
妖しい美しさが漂っている。
憂いを含んだ暗い表情は、その神秘性をいっそう際立たせていた。
闇の誘惑に魅せられた者の美しさだ。

「マリア・・・。あなたはここで儀式を受けるのよ・・・。そして私達の仲間になるの・・・。
既に伯爵さまが初吸血なさったのですが・・・ねッ!うふッ」
女はマリアの瞳を見つめはじめたのでした。
「いけない・・・」
マリアは身の危険を感じたのですが、時既に遅し・・・体が金縛りにあって動けなくなったのでした。
「うふッ、恐がらなくていいのよ、マリア」
ローズの瞳はまっ赤に充血して口唇からは大きな2本の牙が伸びてきたのです。
そして妖しく微笑みながら、マントの裾を掴んで両手を広げてみせたのです。
黒マントの下は全裸だったのです!

レベル2 最低強度

「こんばんはー(^-^)/」
「あら、いらしゃいアイちゃん。
こんな時間に遊びにくるなんて珍しいわね!バイト帰りなの?」
「そーでーす、みゆきさん。
あたし朝から何も食べてないの・・・だから、もーふらふらなのー。
みゆきさんの手作り料理で、体があたたまる美味しいもの食べたいなぁー」
ばたむ!

「ありゃ!?アイちゃん、手作り料理ならお金払ってくれれば何でも食べさせてあげるわよ(笑)
ただお店の入り口でへこまれても困るわよー!カズ君、アイちゃんとこ手伝ってあげてやって!」
(私も高校生のときは自分のボディーラインが気になって、
よくダイエットしてたっけ)みゆきは藍ちゃんの様子を伺いながらも、
昔、ヤンキーだった頃の自分を重ね合わせては苦笑いするのでした。

「アイちゃん、だいじょーぶー?」
よっぱらった赤ら顔のカズ君が心配そうに藍ちゃんに声をかけました。
「あッ、カズ君」
「ほら、そんな所にいると他の人に迷惑だよ」
カズ君は優しく藍ちゃんを助け起こしました。
「アイちゃん、そのマントを脱ぐと少しは楽になるんじゃない?
オレがコート掛けにかけといとくよ」
「ありがとうカズ君、じゃあお願いね!」
そういうと藍ちゃんは胸元のリボン結びにしてあった紐を素早くほどくと、
「バサッ!」っとカッコよくマントを脱ぎ放ったのです!
「・・・・・」
(うぉー、かっちょえー!しびれるー!どよどよどよ)
その時、カズ君の心の中では歓声とどよめきがおこったのです(笑)。

カズ君は手渡された藍ちゃんの黒マントを何か思い出したかのように見つめたのでした。
そして何を思ったのか、いきなりマントの裾をつかむとおもむろに顔に押し当てくんくんと匂いを嗅いだのでした!
「はぅー、この匂いがたまらん!」
そういうとマントに頬づりするのでした(爆)。
「こりゃー、カズ君のへ・ン・タ・イ(-_-#)ぷんぷん!!」
藍ちゃんはマントの匂いを嗅いで喜んでいるカズ君を見ていたのですが・・・何かをひらめいたのでしょーか!?

無邪気ないたずら娘の顔つきになると、カズ君を呼んだのです。

(うふッ、あたしのマントの匂いを嗅いで喜んでる人には、おしをきが必要だわね!
あたしは高貴なヴァンパイアの血を受け継いでるハーフ・ヴァンパイアよ。
一度血を吸った人なら、あたしの思い通りに操ることができるのよ!きゃは!
さあー覚悟なさい、へんたいさん(笑))


我らが「渡来船」のヒロインでありマドンナでもある吸血娘、水無月 藍ちゃん。
彼女は私立女子高に通う2年生のお嬢様。
学校では17歳でとおっているのですが、
ハーフ・ヴァンパイアなもので、詳しい生年月日は彼女自身も把握していないのです(苦笑)。

ここで「下級ヴァンパイア」について紹介しておきましょう。
下級ヴァンパイアにはハーフ・ヴァンパイアとレッサーヴァンパイアが存在します。
ハーフ・ヴァンパイアとはヴァンパイアが純粋な人間と結婚して生まれた人間です。
その人間はヴァンパイアの血(悪?)を半分受け継いでいます。
まさに藍ちゃんはヴァンパイアの血を受け継いでこの世に生まれてきました!

そしてもう1つは、ヴァンパイアに生き血や精気をすべて吸い尽くされた哀れな人間、
その残骸が生ける屍として生まれ変わったレッサーヴァンパイアがいます。
レッサーヴァンパイアになると知能が低く、
欲望に歯止めがきかなくなり動物的な行動をとります。

下級ヴァンパイアは「永遠の生命」とはほとんど無関係で、
肉体が滅べばその人の意思も自然消滅します。
しかし下級ヴァンパイアはヴァンパイアの近くにいると(ヴァンパイアの存在を確認しなくとも)、
普通の人間以上の鋭い感覚で、その存在に気づきます。
レッサーヴァンパイアの場合は低知能ですので、
すぐ近くにいるヴァンパイアの下僕となってしまいます。
ハーフ・ヴァンパイアの場合は同じヴァンパイアの血筋の者同士なら、危害はありません。
ですが違うヴァンパイア同志では、嫌悪感が全身を覆います。

レベル2 最低強度

「こんばんはー(^-^)/」
「あら、いらしゃいアイちゃん。
こんな時間に遊びにくるなんて珍しいわね!バイト帰りなの?」
「そーでーす、みゆきさん。
あたし朝から何も食べてないの・・・だから、もーふらふらなのー。
みゆきさんの手作り料理で、体があたたまる美味しいもの食べたいなぁー」
ばたむ!

「ありゃ!?アイちゃん、手作り料理ならお金払ってくれれば何でも食べさせてあげるわよ(笑)
ただお店の入り口でへこまれても困るわよー!カズ君、アイちゃんとこ手伝ってあげてやって!」
(私も高校生のときは自分のボディーラインが気になって、
よくダイエットしてたっけ)みゆきは藍ちゃんの様子を伺いながらも、
昔、ヤンキーだった頃の自分を重ね合わせては苦笑いするのでした。

「アイちゃん、だいじょーぶー?」
よっぱらった赤ら顔のカズ君が心配そうに藍ちゃんに声をかけました。
「あッ、カズ君」
「ほら、そんな所にいると他の人に迷惑だよ」
カズ君は優しく藍ちゃんを助け起こしました。
「アイちゃん、そのマントを脱ぐと少しは楽になるんじゃない?
オレがコート掛けにかけといとくよ」
「ありがとうカズ君、じゃあお願いね!」
そういうと藍ちゃんは胸元のリボン結びにしてあった紐を素早くほどくと、
「バサッ!」っとカッコよくマントを脱ぎ放ったのです!
「・・・・・」
(うぉー、かっちょえー!しびれるー!どよどよどよ)
その時、カズ君の心の中では歓声とどよめきがおこったのです(笑)。

カズ君は手渡された藍ちゃんの黒マントを何か思い出したかのように見つめたのでした。
そして何を思ったのか、いきなりマントの裾をつかむとおもむろに顔に押し当てくんくんと匂いを嗅いだのでした!
「はぅー、この匂いがたまらん!」
そういうとマントに頬づりするのでした(爆)。
「こりゃー、カズ君のへ・ン・タ・イ(-_-#)ぷんぷん!!」
藍ちゃんはマントの匂いを嗅いで喜んでいるカズ君を見ていたのですが・・・何かをひらめいたのでしょーか!?

無邪気ないたずら娘の顔つきになると、カズ君を呼んだのです。

(うふッ、あたしのマントの匂いを嗅いで喜んでる人には、おしをきが必要だわね!
あたしは高貴なヴァンパイアの血を受け継いでるハーフ・ヴァンパイアよ。
一度血を吸った人なら、あたしの思い通りに操ることができるのよ!きゃは!
さあー覚悟なさい、へんたいさん(笑))


我らが「渡来船」のヒロインでありマドンナでもある吸血娘、水無月 藍ちゃん。
彼女は私立女子高に通う2年生のお嬢様。
学校では17歳でとおっているのですが、
ハーフ・ヴァンパイアなもので、詳しい生年月日は彼女自身も把握していないのです(苦笑)。

ここで「下級ヴァンパイア」について紹介しておきましょう。
下級ヴァンパイアにはハーフ・ヴァンパイアとレッサーヴァンパイアが存在します。
ハーフ・ヴァンパイアとはヴァンパイアが純粋な人間と結婚して生まれた人間です。
その人間はヴァンパイアの血(悪?)を半分受け継いでいます。
まさに藍ちゃんはヴァンパイアの血を受け継いでこの世に生まれてきました!

そしてもう1つは、ヴァンパイアに生き血や精気をすべて吸い尽くされた哀れな人間、
その残骸が生ける屍として生まれ変わったレッサーヴァンパイアがいます。
レッサーヴァンパイアになると知能が低く、
欲望に歯止めがきかなくなり動物的な行動をとります。

下級ヴァンパイアは「永遠の生命」とはほとんど無関係で、
肉体が滅べばその人の意思も自然消滅します。
しかし下級ヴァンパイアはヴァンパイアの近くにいると(ヴァンパイアの存在を確認しなくとも)、
普通の人間以上の鋭い感覚で、その存在に気づきます。
レッサーヴァンパイアの場合は低知能ですので、
すぐ近くにいるヴァンパイアの下僕となってしまいます。
ハーフ・ヴァンパイアの場合は同じヴァンパイアの血筋の者同士なら、危害はありません。
ですが違うヴァンパイア同志では、嫌悪感が全身を覆います。


その6


2人の吸血鬼

昔、人間は夜が嫌いであった。
夜になると、暗い闇があらわれたからである。
暗い闇は、人間を恐怖へと陥れる。
その恐怖こそ、人間は死と同じ意味合いを持っていたからだ。
しかしある日、人間は火を手に入れた。
火は人間にとって大きな希望につながった。
火は夜の暗い闇を明るく照らし出してくれたからである。
それは人間が生きるうえで重要だった。


ここはキス伯爵のお城・・・。
お城のまわりには、火の光も通さない漆黒の闇があたりいちめん包み込んでいた。
そんななか、闇に魅入られし1人の女が伯爵の寝室にあらわれた。

「おめざめ下さい、伯爵さま・・・」
黒いフード付マントに身を包んだ女は、大きな木製の棺の前に跪いていた。
しばらくするとギギィーと鈍い音とともに、棺の蓋が静かに開いたのでした。
そこから充血したような赤い目をしたキス伯爵が、上半身を起こして表れたのでした。

「血がほしい・・・」
伯爵の厚みのある口唇からは大きな鋭い牙が2本伸びていたのです。
「おまえの血が・・・ほしい・・・」
おさえきれない欲望の瞳で、女を見つめる伯爵。
女はそれを黙ったまま見つめると、立ち上がってフードをめくった。
それと同時に長い黒髪がさらさらとながれ、ほのかな甘い香りが伯爵の鼻腔をくすぐるのでした。
そして女は軽く頭を振ると、黒髪を1つに束ねて右肩から前に流したのです。
「ローズよ、おまえの血を頂くぞ!」
ローズは静かに頭を右側に傾けると、左側の肩を伯爵へ向けるのでした。
伯爵はローズのうなじに顔を近づけると、大きな口を開いた!
真っ赤な口から伸びるするどい牙がローズの首筋にゆっくりと沈み、消えていったのです。

「あッ、あう・・・伯爵さま・・・」
噛まれたときは痛そうにしていたローズでしたが、
伯爵が血を吸うたびに恍惚な表情へとかわっていったのでした。
「いい・・・気持ちいいわ・・・もっとよ・・・」
ローズは我慢できなくなったのだろう、じっとしてはおれず伯爵の股間をまさぐりはじめた。
伯爵のパンパンにはちきれんばかりの肉棒は、ズボンの上からでもその形が手にとるようにわかりました。
ローズはズボンのチャックから手を滑り込ませると、膨れ上がった肉棒を優しく撫ではじめたのです。
端正だった顔立ちの伯爵も次第に快楽の波に引きずりこまれ、
色白だった肌にもほのかに赤みがさしてきたのでした。
「あッ、あん。伯爵さまも感じて下さっているのね!」
快楽に我慢できなくなった伯爵は吸血を一時中断して、
ローズをマントの上から強く抱きしめたのでした。

「わたしも伯爵さまに吸血されて、すごく感じているのよ。
ほら、わたしのアソコも伯爵さまに負けないくらいビンビンなんだから・・・うふッ」
そういうとマントを左右にひらいて、目の前にいる伯爵にそそり立つ肉棒をみせつけたのです。
「どうかしらわたしのア・ソ・コ。・・・ほら!」
ローズのそれは真っ赤に膨れ上がり、おへその上までにそそり立っていたのです!
亀頭の先端からは、溢れるばかりの先走り汁がながれていました。
ローズは伯爵の手をとると、自分の肉棒に導いたのでした・・・。
「伯爵さまのその白いシルクの手袋で、わたしを可愛がって・・・そう、そうよ・・・」
伯爵はよがり狂うローズの様子を伺った。
いつの間にかローズもヴァンパイアに変身して口唇からは白い牙が2本のぞいていたのです。
「うッ・・うん!上手よ・・・」
伯爵の白いシルクの手は、上下に動いたかと思えば指先をつかってつまんでみたり・・・
思いのよらぬ動きが、刺激となって肉棒に快楽をあたえ続けたのです。
そして亀頭からはカウパー液がどくどくと流れ出し、あちらこちら汚したのでした。

「うふッ、伯爵さまのアソコも、いやらしいお汁でいっぱいだわ!
ほらズボンに染み出した我慢汁が、濡れてテカテカに光っているわよ!」
そういうとズボンの大きな染みを指ですくったのです。
「ほら、こんなに糸がひいてるわよ!」
親指と人差し指で我慢汁をもてあそぶローズであった。
伯爵の顔は高調して赤くなった。
もちろん吸血して赤くなっていたのだろうけど、それだけではなかった。

「久しぶりに伯爵さまのアソコをみせていただきますわね!」
ローズはズボンの中から伯爵の肉棒を取り出したのでした。
「こんなに大きくなっちゃって、ほらッ、ピクピクって引きつってるんじゃない、うふッ!
あッ、いいこと思いついたわ!」
そういうとローズは自分の亀頭を、伯爵の亀頭に向かい合わせたのです。
2人の肉棒は鈴口どうしで擦れあい、フレンチキスするたびにまたしてもいやらしいお汁で濡れるのでした。
「ううッ・・・」
「どう伯爵さま?こんなことされてガマンできるかしらね!うふふッ!」
ローズは自分のマントの裾をつかむと、2本の肉棒に絡めていったのです。
そして2本の肉棒を優しく撫でては、腰を上下左右に振って亀頭に刺激をあたえたのです。
「あッ、・・・あん。2人のエッチなお汁が混ざり合って、すごいわ・・・。
マントの中でくちゅくちゅっていやらしい音がしてるの!
ほら、このいやらしいエッチな匂い嗅いでみて!」
ローズはマントの上から溢れ出たカウパー汁をすくい取ると、伯爵の鼻に手を押し付けたのです!
「うッ・・・!!
ううッ・・・い、イキそうだ・・・ローズ!!」
「いいわよ、イッっちゃっても!わたしのペニスにいっぱい伯爵さまの熱いスペルマをかけるのよ!!
わたしも伯爵さまにいっぱいぶっかけてあげる!!うふふッ」


それから数時間・・・。
秘め事を終えた2人は別室でくつろいでいた。
「伯爵さま。あの例の計画は順調にすすんでおりますので、ご安心ください。
マリアは頭が回るので、狙った獲物はほとんど逃がさない切れ者です。
さすが伯爵さまが目をつけた小娘だけのことはありますわ!」
伯爵は氷の入ったグラスにブランディーを注ぐと、軽くグラスに入った液体をまわした。
「そうか、マリアは使えるか!」
「はい、毎晩1、2名の町人がマリアの犠牲になっております。
ただマリアは手加減がまだ知らないので、欲望が満たされるまでは暴走するのですが・・・。
わたくし共々、その点は困っているのです・・・(苦笑)」
「まーよいではないか!マリアに群がる奴らが悪いのよ!」
「そうですわね・・・うふッ」
ブランディーを口に含みながら、妖しい笑みをうかべる伯爵。
「ただそろそろ町人たちの異変に気づく奴が現れるかもしれん。
くれぐれも奴には気づかれることのないように、見張りは充分にしておいてくれ!」
「はい、わかりました伯爵さま」
「よろしく頼むぞ!我らがユートピアのために!!ふはははッ!!」

暗い闇夜に大きく真っ赤に輝いている月の光は、
2人の影を妖しくうつしだしていたのです・・・。

その7

試練

「渡来船」の地下室は、お店の従業員でも滅多に出入りしない場所であった。
いや出入りしない場所ではなく、したくても出入りできない力が働いていると考えたほうが、
わかりやすいのではないだろうか。
それは裏の世界を知っている特殊な存在きり出入りできない空間だったからです。
その為か、お店の従業員でも「渡来船」の地下室があることを知っているのは、
穂積みゆき と 北原美樹 だけなのです。

地下室は中世ヨーロッパのお城の一室のような部屋でした。
部屋の大きさは、地下室にしてみれば結構広い空間でした。
そして部屋の中央には、ドラキュラが愛用してるような木製の棺がおいてあった。
そのためか部屋は狭く感じられ、異様な雰囲気が漂っていたのです。

カズこと、早瀬和也 は みゆきに案内されてこの地下室を訪れるのは2度目となった。
初めて訪れた時もそうだったが、この部屋に入ると緊張して変な胸騒ぎがするのでした。
(それにしても、左耳が痛てー!)
みゆきに左耳をつかまれ引きずられながらこの部屋についてきたので、
まっかっかに腫上がってしまったのでした・・・(T_T)。
カズは耳をさすりながら部屋見渡すと、同様に藍も泣きべそをかきながら右耳をさすっていたのでした。

「みゆきさん!確かにお店でアイちゃんといちゃついた事については謝るよ!
だけれどもこの仕打ちは・・・」
「カズ!おだまり!!」
間一髪、みゆきから返事がかえってきた。
みゆきはセーラー服のポケットからバージニアスリムを取り出すと、1本口にくわえた。
そのタバコをジッポで火をつけると、煙を胸にいっぱい吸い込んだのでした。
ふぅーッ!
その時、みゆきは何かを考えていたのだろう・・・タバコの煙を吐き出したとき、その考えが決意にかわったのです。
そして話しました。

「2人ともこれからわたしが話すことをよくきいてちょうだい!単刀直入に話すわ。
アイには欲望に左右されない、誇り高い愛のあるヴァンパイアになってほしいの!
もしアイが欲望のうずまく黒い闇に心を奪われたなら、
わたしはヴァンパイア・ハンターの名にかけてあなたを・・・」
「ちょ、ちょっと待った!!
ってことはアイちゃんが黒い闇の世界に支配されちゃったら、
あの年増女の黒百合みたくエッチになちゃうわけ?」
「そうよ!永遠の若さを求めて手当たり次第に獲物を追い求めては、生き血をすすり、
そして偽りの愛で精気を貪り尽くすの。
そしてボロボロになって死んだ人間は、生ける屍、レッサーヴァンパイアとして生まれ変わり他の獲物を襲うのよ!
カズは1度経験してるからわかるでしょう!」

そうなのだ!オレはとんでもない経験をしていたのだ!!
実は恥ずかしい話し、オレの童貞を奪った女こそ、女吸血鬼黒百合だったのだ!あはは(T_T)ぐすん。
偽りの愛でも肉体、精神ともに感じてしまったオレは、いつの間にかそれが快感になっていた。
女吸血鬼に犯され最後までイキたかったが、みゆきさんやアイちゃんのおかげで寸止めをくらったのです。
もしオレが最後までイッたとしたら、生ける屍と化して徘徊してさまよっていたはずだ。
それを考えると痛いものがあるが、だからといって寸止めも辛かった・・・相対する悩み・・・。
今ではその事がオレの癖になり、トラウマの1つでもある(爆)。

「・・・・・」
藍は無口のままうつむいて、二人の会話をきいていた。

「わたしとアイは昔、あるきっかで強い絆で結ばれたの・・・今は時間がないから詳しいことは話さないけど。
しかしこの事を口にしたのは、カズがはじめてなのよ・・・」

(ずっしり!なんかオレすごい重荷を背負わされちゃったみたい・・・。みゆきさん、オレの気持ちは・・・)
どんよりとした湿気のある空気が室内にただよった。
そんな空気を打ち消したのは、今まで無口でうつむいていた藍であった。

「わかったわ、みゆきさん。あたしあなたの希望に添えるようなヴァンパイアになれるかわからないけど、
努力してみるわ!」
「そうね、その考え方は賢明よね!
まだヴァンパイアとして未熟だし、ヴァンパイア・ハンターとしての腕前もまだまだだものね!」
「ぶーッ!!そこまでいうことないぢゃん!!」
「だって本当のことでしょう?それに初めて吸血した相手ってカズだったんでしょう!?(笑)」
意味ありげな視線で、藍をみつめる みゆきであった。
「えッー、オレがアイちゃんのファーストキス・・・じゃなかったファースト吸血の相手なのー?」
藍の顔が一瞬にして真っ赤になってしまった(笑)。
そんな藍の初心な姿に心温まる みゆきであった。

「それでは2人に試練をあたえるわよ、まずはカズ。
さっきあなたはわたしにヴァンパイアの映画を見に行こうって誘ってくれたよね。
その気持ちは嬉しいわ、素直に受け取ってあげる。
だけどカズは前回の体験(ヴァンパイアに肉体を弄ばれた)での興味本位からのお誘いなんでしょう?(苦笑)」
(ずさーッ!みゆきの姉御はそこまで気づいていたのか・・・お、男のロマンが崩されていくー・・・む、無念!)
そういうと みゆきはいきなりカズのズボンの上から金玉を鷲掴みすると、力強くにぎった!
そしてカズの瞳を見つめながら話したのでした。

「くすッ・・カズ、あなたはそんな安っぽい男になってはダメ。
もっと自分に自信を持って生きてほしいの!その為には強い理性と優しさが必要よ!
そしてアイが暗黒の闇に堕落しないようにサポートしてあげてほしいの!!」
オレは吠えた!
「うぉーッ!オレはカズ、男の中の男だぁーッ!やってやるぅーッ!!」
みゆきの姉御には弱いカズであった。
「くすッ、やっぱりカズって単細胞な男ね!(苦笑)」

「そしてアイ、あなたは自分自身のことをしっかりと受け止めるの。
自分を知る事が一番大事なことよ!自分というモノサシをしっかり持つの!
そうすると自分の行くべき道は、おのずと開かれてくるはずだわ!」
そういうと みゆきはタバコの煙を吸い込むと、短くなったタバコをもみ消した。

「わたしがあなたたちにアドバイスできるのはここまでよ。
これからは自分達が自分の意思でしっかり進みなさい!」
(ヴァンパイアハンターのわたしが、ハーフ・ヴァンパイアのアイに教育するなんてね・・・
表世界の住人を守る為には、致し方ないことだものね(苦笑))

みゆきは地下室の「渡来船」に通じる反対側の扉を指差して言った。
「この扉はある時間帯だけ、時空を越えて違う世界に通じる秘密の扉なの。
最後には必ず今の時間に戻ってくることになるけどね!
この扉を開けるとどんな世界が待ってるかわからないけど、きっとあなたたちに大きな試練が待ち受けてるはずよ!」
みゆきは秘密の扉を開け放った!
扉の向こう側は真っ暗になっていて、どんな様子かわからなかった。

「さあ、出発よ!二人ともついてらしゃい!!」
みゆきは意気よいよく、扉をくぐり抜けていった。

その8

  スペシャルな宇宙(そら)

すべてが眠りについてるような、静かな夜であった。
耳の痛むような静寂があたりいちめん満たしていた。
空には星々が輝き、月の淡い光が森の木々と茂みに溶け込んでいた。

「みゆきさん、ここは何処なんですかね?」
俺達3人は石畳でできた道を、月明かりを頼りにあてもなく彷徨っていたのです。
「わたしも知らないわよ。とりあえずゆっくり休める場所を見つけましょう!」
「あのぉー、みゆきさん!」
「はいはい、今度はなに?(苦笑)」
「あたし、お店に入ってから一口も食べ物を口にしていないんですけどぉー!」
「あらッ、そうだっけ!?話のはずみで意気よいよくこっちの世界に出発しちゃったから、忘れてたわ・・・(苦笑)」
「ぶーッ!(怒)」
「ごめん、ごめん!」
オレは2人の会話を苦笑いしながら聞いていたが、森の先にちらちらと光が漏れるのを確認した。
「あれ!?この森を抜けた先に、点々と明かりが見えるよ。
もしかしたら街があるんじゃない?行ってみよう」
「ほらほら、アイ。いつまでもふて腐れない!街に行けば何か美味しいものご馳走してあげるから!」
「はーい!」
月明かりに照らされた3つの黒い影は、街の明かりをめざして歩きはじめたのでした・・・。


街につくとねずみや猫、犬といったような小動物の奏でる物音が聞こえる他は静まり返っていました。
(この街のメイン通りだというのに、誰も人がいないなんて不思議よね・・・)

「あーッ!ここのお店はレトロな感じで素敵だよ。
ほら、木のお人形さんがこのお店の看板担いでるところなんて面白いし、入り口にはランプで明かりをとってるのよ!」
「あれーさっきまで不機嫌だったコが、いったいどうしちゃったの?」
「いいから、いいから!早く中に入りましょうよ。こんばんわー!」
藍はお店についたとたん、元気が出てきたようだ。
そして誰よりも先に、お店に飛び込んで入っていったのでした。
(やれやれ、途中からオレの背中におぶさってくーくー寝息をたてていた人だとは思えないよな!(苦笑))

「とりあえずオレ達も中に入ろう」
「そうね!」
お店の中に入ったら、1匹の子犬が出迎えてくれたのでした。
「わんわんわん!」
凛々しい顔つきのコーギーちゃんがしっぽを振って、藍とじゃれあっていたのです。
「わんわんわん!カプッ!」
ありゃ!?コーギーちゃんったら、喜びすぎて藍の腕を噛んだのでした。
(な、なに奴!ヴァンパイアに噛み付いてくるなんて、いい度胸しているはね君!
あたしがヴァンパイアってこと知って・・・って、知らないわよね・・・ぐすん(T_T))
キッっとコーギーちゃんを睨んでしまった藍であった。
「くぅーん!ハァ、ハァ」
それでもしっぽを振って、何かを訴えかけるようなうるうるした瞳でみつめるのでした。

「ごめんなさいお客さん。その子、男の子で「宇宙(そら)」くんっていう名前なのよ。
うちの店の看板犬なんです(笑)」
エプロン姿の少女がやってきた。
少女は外見から見て、藍より少し年下のようだ。
亜麻色の髪は肩よりも少し長いくらいのセミロングにして、きめ細かな肌の色は小麦色で健康的である。
無邪気に笑う笑顔が可愛らしく、その口元の八重歯がちょこっと覗かせるところがまた印象的でもあった。

「いらっしゃいませ!お客さんたちは旅人さんなんですか?」
「どうしてそう思うのかしら?」
「最近、街の人達は今の時間は出歩かないんですよ」
みゆきは店内を見回しましたが、カウンター席に2人の男が酒を飲んでるほかは全席空いていたのです。
(やっぱり何かあったのかしらね・・・)
とりあえず3人が落ちつけるテーブル席に腰をおろした。
「確かに街に入ってきてから誰一人として見かけなかったわ。
このお店に入って人を見たのがはじめてだもの。
なぜ街の人たちは外出しないのかしら?」
「それが夜になると闇をまとった魔物が最近現れるようになったのです。
そしてその魔物が人間を襲うそうです。
わたしは見たこともないので、どんな魔物なのかわからないんですけど・・・」

少女はお店のメニューとお水をテーブルに置くと、お盆を胸元に抱えた。
「人を襲う魔物!?」
「そうです!ここの領主さまであるキス伯爵さま自らが、毎晩街を見回りして下さっているのですが、
一向に問題が解決なさらず困り果ててるみたいです。
それで闇を好む魔物ですので、少しでも犠牲者が出ないようにということで、
夜間に限り外出禁止令が出ているんですよ!」
「・・・それはただ事ではないわね」
「もし旅人さんたち今晩泊まるお宿のあてがないのでしたら、
うちの2階が空いておりますので、どうぞ使ってください。
たぶん今からお宿をさがされても野宿になると思いますので・・・」

みゆきは腕を組むと目をつぶり考え込んだ。
そして・・・
「くしゅん!」
とくしゃみをしたのでした(笑)

「わかったわ!あなたさえよければ、お言葉に甘えて泊めていただきます」
それを聞いた少女は胸をなでおろしたのです。
「あーよっかた!実は今日はうちの親が外出していまして、わたしとこの子が店番していたんです。
ちょっと心細かったものですから、ついつい差し出がましいことを言ってしまい申し訳ありませんでした」
「いいえ、こちらこそ感謝しますわ。
野宿なんてしたらわたしのツレたちなんて何を言い出すか・・・」
みゆきは藍とカズを見るのでした。

そんな藍はメニューとにらめっこしていました。
(うーん、あまりきいたことのないメニューがずらーっと並んでいるかし、何頼めばいいのかなぁ・・・(汗))
カズは藍をおぶさって街まで歩いてきたものだから疲れたのだろう、イスに座りながら居眠りしていたのでした。
「やっぱりこの調子では、野宿は無理みたいですね」
「ええ(苦笑)」
「それじゃここでゆっくりさせてもらいます。
あなたの得意なメニューを2、3品持ってきてちょうだい!」
「はーい、ありがとうございます(笑)」


「ごちそうさん、マリア!」
「あッ、毎日ありがとうございます」
カウンター席で酒をのんでいた男2人が立ち上がると、お店から出て行こうとした。
マリアと呼ばれた少女は、男の人たちについてお店の入り口まで見送るのでした。

「今年のオーディションで優勝した「町一番の美女」だもの。
毎日でもアリアをみに遊びにくるからなッ!
いくら伯爵が外出禁止令を出したところで、俺達にとっちゃー無意味の何ものでもないのさーッ!
はッはッはッ!」
「あまり無理しないでくださいよ。魔物に襲われでもしたら、わたし・・・」
「心配するな!俺達はこの腕で生活してるんだから。
もし魔物が現れたらこの腕で奴の首根っこをひっつかんでやるさ!はッはッはッ!」
そういうと力自慢であろう男はマリアにむかってガッツポーズをしてみせたのでした。
「じゃ、明日な!」
「気をつけてね!」
マリアは男達の後姿を見つめるのでした。

「うふふッ」
(首根っこつかまれているのは、あなたたちの方なんじゃない。おバカな男の人たちね!
今晩はあなた達より美味しそうな獲物がわたしの巣に迷い込んできたことだし・・・。
そいつをじっくりとお料理していただかないとね!)
マリアは魔性の笑みを浮かべると、乾いた口唇をちろちろ舐めたのでした。
舌の動きが何かしら淫靡なものを感じさせた。

その9

  Back to the future.(出会い)

10数年前・・・。
私は束縛されることが嫌で世間に反抗し、親に反抗し、そして自分自身にも反抗した。
若さゆえの無知無謀が自分自身をそう駆り立てたのかもしれない。
その時の私は自分に力さえあれば束縛されることから逃げ出し、
自分の宿命であるヴァンパイア・ハンターの道を替えることができると信じて疑わなかった。

「ちッ、逃げられたか!」
《生命(いのち)の宝珠(たま)》を天高く掲げた梨香(りか)は、
ヴァンパイアに魅了されつつあった みゆきに声をかけたのだった。

「みゆき、しゃっきっとしなさい!!その扉からヴァンパイアが逃げたわ!!急いで後を追うのよ!!」
ヴァンパイアの下僕となって襲ってきたレッサーヴァンパイア達は、
《生命の宝珠》から溢れ出した聖なる光を体全身に浴びて声にもならない断末魔を漏らした。
そして次々と灰になって静かに崩れ去った。

「はい、母さん」
ヴァンパイアは《生命の宝珠》から光が溢れ出ると同時に、蝙蝠へと姿をかえたのでした。
そして光を避けながら下僕としていたレッサーヴァンパイアの陰に隠れるように部屋から逃げ出したのでした。
キワドイ戦闘服の上に黒のロングコートに身を包んだ梨香は、
娘のことなど気にもせずに扉から出て行ったヴァンパイアの後を追いかけていった。

「はぁ、はぁ・・・」
みゆきは額から流れ出る汗を濃紺のセーラー服の袖で拭うと、母の後を追うように走ったのでした。
自分のプライドと体制への反逆の印であるロングスカートがこの時ほど恨めしく思ったことはない。
すると突然、女が みゆきを呼び止めたのです。

「ヴァンパイア・ハンターのお姉さん。どうかわたしの魂を、この呪われた身体から解放してください・・・」
ヴァンパイアの吸血の呪力が今ひとつ足りなかったせいなのだろうか、
下僕のなかにはレッサーヴァンパイアになり果てない不完全な吸血鬼として存在した奴がいたのである。
理性を保ってはいるが肉体は既に痴れ狂っていた・・・。

「親や子供、そして友人を吸血し殺してまで、生きたいとは思いません・・・。
どうかわたしが生気を保っているうちに、血に飢えた欲望に負けて人を襲わないうちに殺してください・・・」
まだ見習いヴァンパイア・ハンターの みゆきでさえも、彼女は人間として生きていくことのできない体であることがわかった。
そして他人の生き血や精気を吸い取り続けなければ、生きていくことはできない体であることもすぐにわかった。
自分にはどうすることもできない儚く虚しい感情が みゆきの体を覆い尽くすのでした。

「しかし、わたしには・・・」
「まだ生気であるうちに・・・、お願いします・・・。そしてこの子を・・・ううッ・・・」
女吸血鬼のマントの陰に隠れるように、1人の少女が みゆきを見つめていたのでした。
まだ園児くらいその子は、おかっぱ頭の少女でした。
この瘴気がうずまく絶望のなか、それでも みゆきを見つめる瞳には生きる希望を秘めた強い意志が感じられたのです。
先程までここでヴァンパイアによる漆黒の宴(黒ミサ)が執り行われていたのである。
男女の性別は関係なく互いの精気を心ゆくまで貪り尽くしては、また自分の側にいる別の相手を犯し、そして犯されるのでした。
その凄まじい狂態は地の底の深淵から轟々と湧き上がる瘴気そのものであった。
噴煙のように巻き上がっては、渦巻く暗闇は重苦しく みゆきをとり囲み、息苦しさを感じたのです。
この息苦しさの中、吐きそうになりながらも耐えるのに必死でした。

(しかし、なぜこのような場所に少女がいるのだろうか?)
絶対に似つかわない場所に少女がいることが不思議であると同時に、なぜか悲しくも感じるのでした。
「名前は?」
「アイ」
「アイ、わたしについておいで!」
みゆきの淡い想いが通じたのだろうか?藍がこくりと頷いた。

「わかったわ。この子はわたしが預かるわ。
あなたはこの世に未練を、そして心残すことなくすべて忘れなさい」
みゆきはロングスカートのポケットから聖水の入った小さな小瓶を取り出すと、
不完全な吸血鬼にむけて聖水を降りかけたのでした。
そして女吸血鬼は至福な表情を浮かべポロポロと涙を流しながら、とろけるように静かに消えていったのです。

(天にまします我らの父よ 願わくば御名を尊とまれんことを、
御国の来たらんことを 御旨の天に行なわるるごとく
地にも行なわれんことを、 我らの日常のかてを今日我らに与えたまえ
我らが人に許すごとく、我らの罪を許し給え
我らを試みに引き給わざれ、我らを悪より救い給え アーメン)

みゆきは心の中で主の祈りを唱えると、十字をきったのでした。
これで みゆきは女吸血鬼に対して正しく弔ったどうかは、自分自身でもよくわからなかった。
しかし少女の瞳から語られた意思から、みゆきに新しい何かの力を受け取ったことは確かであった。

「ふーッ!何やってたのさーみゆき。
あんたがボケボケしていたおかげで、ヴァンパイアを逃しちゃったじゃないの!」
くわえタバコをしながら みゆきの前に姿をあらわした梨香であった。
「しかし奴の寝床の棺は浄化しながら燃やしたから、当分の間は悪さをしないでおとなしくしているはずよ!」
梨香は自慢げに娘をみた。
「はいはい!」
すこし憂鬱になった みゆきでした。

みゆきの母、梨香の容貌は、みゆきより背が少し小さかった。
体格はやや小柄で細身だが決して華奢(きゃしゃ)ではなかった。
むしろ昔から体を動かす事が大好きで、鍛え上げられたしなやかさは並みの人間では考えられないほどである。
野性の中の美獣といっても過言ではない。
ショートにした黒髪がとても似合い、特に左腕に彫った蝶のタトゥーがまた印象的でもあった。

「あらー、みゆきったらいつの間にか、可愛いお友達ができたのね!(笑)」
そういうと梨香は笑いながら藍の前に右手をさしのべたのでした。
「うふッ、仲良くしてね!」
藍は少々とまどいを見せたのですが、恐る恐る手を出したのでした。
するとどうでしょう!
梨香の右手の真ん中には、いつの間にか赤い大きな飴玉が1つあらわれたのでした。
びっくりした藍は、何もなかった所から突然あらわれた飴玉を興味深々と見つめたのでした。

その10

 忍び寄る魔女@

(くすッ!あの時のびっくりしたアイの顔は、10数年たった今でも思い出すよなぁ・・・。
なんていったて、母の飴玉マジックは子供を驚かす時のとっておきの十八番(おハコ)だもの!
私も小さい頃、よくあのマジックで母に誤魔化されたもんなぁ(苦笑))
みゆきの隣には藍がくーくーと寝息をたてて寝ていました。
(もうあれからアイもずいぶんと大人になったのね。こんな娘に発情する男が現れるようになったんだから(苦笑))

みゆきは藍のやすらかな天使のような寝顔みつめていたのですが、突然藍が寝ながらしゃべりはじめました!
「う、うーん。みゆきさーん、お腹がいっぱいでーす。もう食べられませーん・・・んー苦しいよぉー!」
(くすッ!アイったら今までダイエットして我慢していた分、今夜の夕食は親の仇をとるように食べていたもんねぇ!(苦笑))

「はいはい!寝言はいいから、ゆっくりおやすみ」
みゆきは藍に顔を近づけると、藍のおでこにおやすみのキスをしました。
「さて、私も寝るか!」
みゆきは目をつぶると、静かに眠りについていったのです。

マリアは今晩 みゆき達が泊まるために2階の部屋を2部屋用意してくれたのです。
そしてこの部屋には みゆきと藍が休んでいたのでした・・・。


同時刻・・・。
カズの寝ている部屋に1人の少女が忍び込んできた。
彼女は黒いマントを羽織ったマリアだったのです!
マリアの瞳は赤くひかり、口唇からは既に大きな2本の牙が伸びていました。
憂いを含んだ暗い表情からは、妖しい笑みがこぼれていたのです。

「気持ち良さそうに、よく寝てること。クスクス!」
マリアはベットに寝ているカズの姿を確認すると、部屋の窓際まできてカーテンと窓を開けたのでした。
暗い闇夜には、月が大きくまっ赤になって輝いてました。
室内には夜のひんやりした湿った空気が、夜風とともに流れ込んできたのでした。
すると夜空からは闇をまとった1匹の蝙蝠が部屋に舞い込んできました。
その蝙蝠は2階の部屋に降り立つと同時に、闇の中から黒いフードを被ったマント姿の女に変身したのでした。

「お待ちしておりました。ローズお姉さま・・・」
「うふッ、マリアもなかなかやるじゃない(笑)」
ローズはそういいながら、夜露で湿ったフードをあげたのでした。
フードをあげたと同時に、ローズの黒い髪がさらさらと流れ、ほのかに香る甘い匂いがマリアの鼻腔をくすぐったのです。
(あん!お姉さまの黒髪の匂いが心地いい・・・)

「よく《黄金の雫》を持つ男をうまく巣の中に連れ込めたものね。
これで明日の漆黒の宴(黒ミサ)のわたしたちの獲物は決まったも同然よね。
伯爵さまもあのヴァンパイアの血を受け継ぐ娘をお気に召してくれることでしょう!
そして儀式が成功した暁には我らが目指すユートピアが待っていることでしょう!うふふッ」
「はい、ありがとうございます」
「今夜は漆黒の宴のための下拵えしておくという訳ね!マリア(笑)」
ローズはベットに寝ているカズの姿を見ると、赤い口唇の回りをなめたのです。
ローズとマリアは顔を見合わせて、妖しく微笑んだのでした。


「ローズお姉さま・・・」
2人は顔を近づけると口唇同士を触れ合ったのです。
そして体を寄せ合いながら、両手で軽く相手を抱きしめてぬくもりを感じあったのです。
つるつるとしたマントの感触、そして豊満な胸のぬくもりを感じながら口の中に舌を入れて舐め回すのでした。
「・・・んッ!あん」
ロ-ズはマリアの長い舌の動きに、そして熱い抱擁に感じて甘い吐息をもらしました。
「気持ちいいわよ、マリア」
ローズの瞳も赤く光だし、まっ赤な口唇からも次第に大きな牙が伸びてきたのです。
マリアはローズのつんと起ってきた乳首をマントの上から摘むと、くりくりと両手でいじって刺激を与えたのでした。

「・・・んッ!」
マリアに刺激され、激しくキスをされて口を塞がれていたので、悶えが鼻から吐息となって抜けていった。
「ほら、お姉さまのア・ソ・コもビンビンに反り返っているわよ!クスクス!」
耳元で囁かれたローズはたまらない、マリアのお腹にあたった肉棒は先走り汁でぬるぬるとなっていたのです。
「・・・あん、マリア。あなたの血をいただくわよ・・・」
「いいわよ・・・お姉さま・・・」
マリアも血を吸われるという快楽に期待して、身を震わせて目をつぶった。
ローズはマリアの亜麻色の髪をかき分けると、小麦色のうなじに顔を近づけまっ赤な口を開けた。
そしてするどい牙がマリアの首筋にゆっくりと沈み込んでいったのです。

ローズに血を吸われのどが鳴る度に、マリアのアソコからは留め止めもなくいやらしいお汁が湧き出し、両足の股を濡らしました。
「・・・もっと、吸って・・・下さい・・・」
マリアは押し寄せる快楽に我慢できず、自分のアソコを手で慰めはじめたのです。
ローズも次第に顔が赤らんできて、感じている事がわかった。
「はあぁ・・・んうッ!」
ローズは吸血を中断すると、マリアのうなじから真っ赤な口を放した。
「だ・・・ダメッ!!お姉さま・・・」
哀願するように、マリアはローズを見つめたのです。
「ほらマリアの股間からいやらしいお汁が糸をひいて、床まで滴って汚れているじゃない!
イケナイ娘はお預けにしちゃうわよ・・・うふふッ」
「・・・あん、イジワル・・・」
マリアは自分の股間からたっぷり出たお汁をすくい取ると、おもむろにローズの肉棒を掴んだのです。
そして自分のいやらしいお汁をローション代わり使うと、パンパンに膨れた肉棒に塗りたくったのでした!
「イヤよ・・・」
そういうと肉棒を指で挟むと、亀頭を集中的に扱きたてたのでした。
くちゅ、くちゅ!と手を動かす度に、いやらしい音が部屋中に響きわたった。

「いいわ・・・気持ち・・・いいわよ・・・」
ローズもマリアの首筋についた傷口から流れ出る血を、長い舌でぺろぺろと舐めあげるのでした。
「あん!噛んでよ・・・お姉さま・・・」
マリアは熱くなった肉棒を、自分の股間に挟みこんだ。
そしてローズに体を預けると、足を交差させて肉棒を締め上げると腰を振ったのです。
亀頭のエラ部分がクリトリスを刺激しては、どくどくと溢れる愛液同士が混ざり合い、泡となって床に滴り落ちた。
「はあッ・・・すっごい・・・いい」
「くう・・・イッちゃうよぉ!」
「あッ、ああーッん!!!」
2人同時にイッってしまったのでした。
「はぁ、はぁ!・・・あん。ローズお姉さまの・・・あついミルクが・・・」
マリアのマントのまっ赤な裏地には、ローズの飛ばした精液でべっとりと汚れて染みになっていたのです。

その11

  忍び寄る魔女A

「っく・・・、ふぅーッ・・・」
マリアは額から流れ落ちる汗を拭うと、ローズに向かって甘い声で囁いた。
「お姉さまもいっぱい感じてくれて、嬉しいわ・・・。耐え切れずにいっぱい出しちゃったのね・・・。
おかげでわたしのお気に入りのマントが汚れて台無しになっちゃったわよ!クスクス(笑)」

ローズは興奮が覚めやらぬまま、マリアの口を塞ぐようにキスをしてきました。
「うう・・・んッ、ダメよお姉さま。今宵はこの男(コ)を・・・あんッ!・・・」
マリアの感じてる顔を見つめながら苦笑いを浮かべたローズだった。
「うふッ、そうだったわね。可愛いマリアを見ていたらまたやりたくなっちゃうのよ!
でもそろそろ、この男をつまみ食いしましょうかしら・・・」

2人はカズの寝ているベットの左右に分かれると、両脇を挟むようにベットに上がったのです。
そしてかけてあった毛布を剥がしていった。
「うふッ、この男、なかなか素質があるんじゃない。ほらみてごらん、マリア」
「ほんとだわ!今まで寝ていたくせにもうパンツがテント張っているわよ!クスクス」
2人の戯れに刺激されたのだろうか?カズは寝ていたにも拘らず、股間は既に勃起していたのです。

「マリア、この男をすぐにわたしたちの下僕のように足元に跪かせることは簡単だわ。
だけど今回は心の底からわたしたちに服従を誓わせることが大事なの。
もちろん儀式を成功させるには必要なことではあるけれど、どうしてだかわかる?」
「クスクス!」
ローズの質問にあえて答えなかったマリアではあった。
「うふッ、さて準備をはじめましょう」
「はい、お姉さま!」

ローズはカズのパンツに手をかけると、一気に引き下ろした。
弾かれたように勃起したカズの肉棒が顔を出したのです。
カズのモノは皮かぶりのままで猛々しく天に向かってそそり立っていた。
「うふふッ、《黄金の雫》を持つ男は、皮かぶりのオチンチンだったなんてね!(苦笑)」
目の前に飛び出してきたカズの肉棒をまじまじと見つめながら、ローズは苦笑いを浮かべた。
そしてひんやりとしたしなやかなローズの指先が、カズの肉棒を掴むと軽くまさぐった。

「・・・ううんッ・・・」
ローズが手を動かす度にカズの寝顔が歪み、感じていることがわかった。
「この切ない寝顔を見ていると、かまい甲斐があって面白いわ!
マリア、このわたしたちの眠れる森の王子様ならぬ、
眠れる森の包茎坊やを起こして差し上げなさい・・・うふッ」
「はい・・・」
マリアはカズにおおいかぶさると、真っ赤な口を開けて鼻と口を塞いだのです。
そしてマリアの長い舌は、カズの鼻や唇をチロチロと舐めあげるのでした。

「・・・んーッ・・・」
カズは息苦しさを感じ顔を振ったが、マリアの異常なまでのディープキスから逃れる事はできなかった。
「んッ、んッ、んッ・・・あッ!?・・・むぐッ!むぐぐッ!!」
カズは新鮮な空気を求めて、閉じていた口を軽く開けたのでした。
マリアはその一瞬の隙を見逃さなかった。
口の中に舌を差し込んだのです。
ねっとりと唾液で濡れた舌の感触が、カズの口の中全体を蹂躙した。
不意をつかれたカズは、自分にいったい何が起こっているのか把握する事もできずに、
ただなすがままでした・・・。
マリアの執拗なまでのディープキスに解放された時は、顔じゅうが唾液で濡れていたのです。
「おはよう、眠れる森の包茎坊やくん!」
マリアは小麦色の頬を紅潮させて、切れ長の赤い瞳を妖しく輝かせた。
そして唖然として横たわっているカズに声をかけた。

「マリアのお目覚めのキスの味はいかがだったかしら?うふッ」
(マリア・・・キスの味・・・包茎坊や・・・?)
「あーッ!!(汗)」
カズは弾かれたように起き上がろうとしたが、
下半身をローズに押さえつけられていた為に起き上がれなかった。
そして包茎坊やとマリアに言われたカズは、羞恥がこみ上げて顔が赤らんだのです。
カズは下半身が裸である事を知り、とっさに両手で股間を隠したのでした。

「いまさら隠す事なんてないんじゃない。とってもたくましくて可愛いオチンチンね」
ローズはカズの手を払いのけると、
包皮にくるまれてわずかに亀頭の先が露出している肉棒をしっかりと握りしめた。
「恥ずかしがってるわりには、体は正直に反応しているじゃない。
ほら、あなたのオチンチンの奥からこみ上げてくる快感がこの手の中から感じるわよ。
オチンチンの皮、剥いてあげるわね!」
そう言うとローズはカズの肉棒を強く根元から握り締めると、包皮を一気に剥きあげたのでした。
「ああーッ!」
カズは腰をくねらせると、2人の吸血娘に見られている激しい羞恥に思わず声をあげた。
カズの剥きあげられた亀頭は鮮やかなピンク色に充血し、
既に鈴口からはじっとりと先走り汁が溢れ出ていたのです。

ローズはそっとカズの肉棒に顔を寄せると、くんくんと亀頭の匂いを嗅いだのでした。
かすかに栗の花のような饐えた匂いが漂ったが、
ローズは嫌な顔を見せずいやらしく赤い目を輝かせた。
「ヤダッ・・・。見ないでッ、見ないでください!うやあーッ、お、お願いだからッ!」
カズは常軌を逸した快感と羞恥で、心身ともにズタズタにされた。
「あらあら。包皮を剥いただけで、もうこんなに感じちゃって。
あなたの亀頭っていやらしい形をしているのね!」
そう言うとローズは唾液をたっぷりと絡めた長い舌で裏筋を舐めあげ、
鈴口をチロチロとくすぐり、真っ赤な口でしごくように肉棒を咥えていった。
むせ返るような男の淫液を何度となくすくい取って味わっては、肉棒の匂いを吸い込んだ。
「ああーッ・・・!」
ローズの唇に肉棒を含まれ、カズは下半身を激しくくねらせた。

「ほら、もっとローズお姉さまに、あなたのよがり声を聞かせてあげなさい・・・」
上気して熱くなったカズの耳元で、マリアが囁いた。
そしてマリアはカズの耳たぶを口に含むと、鋭くとがった牙で軽く噛んだのでした。

「うふッ。ご機嫌だこと、マリア。可愛いわ。この男をもっと責めて虐めてあげたくなっちゃうわ」
「そうね、お姉さま。もっとずっと気持ちよくさせて、恥ずかしめましょう」
「でも昇天させてはダメよ・・・!
まだこの男は女の手でイカされたことのない大事な体なんだから・・・うふふッ」
2人の吸血娘は顔を見合すと意味ありげに微笑むと、次第に愛撫を強めていった・・・。
「うッ・・・これいじょう、うッん、されたら・・・オレッ・・・ああーッ!」
ローズの生温かい粘液質の唾液と舌で甘美な刺激を送り続けられたカズの肉棒は我慢の限界へ達した。

ローズは肉棒が大きく膨れたのを察すると、素早く口を離した。
「勝手にイッたりしたら、ダメよ!!」
冷たく鋭い声で威嚇した。
それはまるで女獣が小動物をいたぶるかのような残忍さが含んでいた。

「わたしたちに心から服従を誓うなら、考えてもいいわよ・・・クスクス」
カズは、はぁー!はぁー!と荒い呼吸をしながら間を入れずに返答した。
「お、お願い・・・します・・・イカせて、ください・・・。服従いたします・・・」
哀願するように、2人の吸血娘に誓ったのでした。
それはカズが快楽という欲望の暗い闇へと、堕ちた瞬間でした・・・。

「何度も言わせるんじゃないわよ、包茎坊や!
さっきっからイカせないと言ってるでしょう!!」
カズは絶望的な眼差しでローズ・・・いや女主人をみた。
「うふッ、その代わりにわたしたちに服従を誓った証として、素敵なプレゼントをあげるわ」
そう言うとローズは腰まで伸びた黒髪を、自分の鋭い爪で数十本切り落としたのでした。
そして何を思ったのか、長い黒髪をおもむろにカズの肉棒にくるくると巻きつけていったのです!
根元をキリキリと黒髪に締め付けられ肉棒は、最大限に膨れ上がりいやらしいお汁がしたった。

「ほらこれでお前が勝手にソレを慰めても、絶対にイクことができない体になったわ」
「あらー、お姉さまの黒髪の貞操帯、似合っているじゃな!可愛いわよ!クスクス」
ローズはまた大きく膨らんだ瑞々しいピンク色の亀頭に濃密なキスをするのだった。

「うッ・・・うあーやだッ、おかしくなっちゃうーッ!」
肉棒の先から黒い闇の瘴気がじわりと染みこみ、
気が狂いそうなほどの被虐の予感に身体を震わせた。
「そう、それじゃ・・・狂ってしまいなさい!」
ローズはそう言うと、残虐な暗い微笑みを浮かべて鋭い牙でカズの肉棒に噛みついた!
「あうッ、あーッ!ぎゃーッ!!!」
静まった部屋の空気をかき乱すようなカズの悲鳴が室内に轟いた。
それは肉棒が火で炙られたような鋭い痛みだった。
足をバタつかせて必死になって逃げようともがくが、ローズはそれを許さなかった。
ごくッ、ごくッと生血を飲む音があたり一面になり響き、
なおも肉棒に食い込んだ牙を沈めていった。
「あらあら、そんなに痛いの・・・可哀想に・・・クスクス」
カズの苦痛で歪んだ顔をのぞきこんだマリアは、さもその表情を楽しんでいるようだった。

「ああ、ううッ・・・くーッ!!」
(お、おかしい・・・これは・・・ど、どういうことなんだ!)
血を抜かれてるはずの真っ赤な薔薇色に染まった肉棒は、
火照った体の奥からなをも痛みとともに淫らな欲望が疼きこみ上げてくるのでした。